神戸YWCA夜回り準備会のブログ

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反G8・豊浦キャンプでのできごと 3

【7/9】伊達へ

 とうとう3日目の朝、3キャンプ合流デモ!!うぉーやっと念願の統一行動だよ!しかし伊達までみんなで移動できるのか、その一点だけが不安だった。朝の集合で、DVたちに、パペットや横断幕などは、たたんでコンパクトにし、デモではなく移動であると主張して歩く、と確認。昨日確認したよりだいぶ人数が増えている感じがする。第1陣は7:30礼文駅発のに乗らないといけない。結局6:50くらいに出発しただろうか。駅まで徒歩でどれくらいか、いろんな人に聞いたが、30分かからないという人もいれば、50分くらい、という人もいた。公安のこともあるし一応早めに出発しようと言っていたのだが、京都メンバーとか、デモ解散地点からそのまま帰る荷物も持っていたので、もたついてしまった。
 先頭を歩くSEが、ずっとNHKか何かのテレビ取材を受けている。SEしか撮らないということで、撮影しているのだが、バランスの悪いバックパックと荷物を抱えてフラフラしながら淡々と取材にも答えているSEって本当にすごいなと思った。山道を抜けてしばらくして、公安の車がうろつきだした。止められたらやだなー、時間ないなーと話しながら歩く。すると、豊浦の役場のひとらしい車が来て、「どこ行くの?」と聞かれた。どう答えたもんかと思っていると、「恥ずかしがらんでいいよ」「帰るの?」。「駅まで行くんです」と答える。「そうか、おつかれさまー」。やりとりはごく親しみのあるものだが、それを公安に報告するのだろう。「地元の人使って聞くのは卑怯だよなー」とSEが言う。結局公安は話しかけては来ず、そのあたりに散り散りいる公安の群れの中をてくてくと歩いて通ることになった。
 あと10分くらい、のところで、まだ駅が見えない。これやばいんじゃないか、と後ろ長く伸びている列に、急いでーと呼びかける。私はデモ後一度キャンプに戻ることにしていたので、荷物がない。とりあえず走ることにした。ダッシュしてたら、公安に混じって沿道の人たちが、「がんばれー」「もうちょっとだぞー」と声援を送ってくれる。駅伝を思い出し、なんか幸せな気持ちになる。こんな走るのひさしぶりだなぁ。一人駅にたどり着き、「まだみんな来てないんやけど、電車待ってくれるかな?」。「さぁー、車掌さんに聞いてみてごらん」「もう帰るの?」「おつかれさま」なんだかいろんな人が声をかけてくれる。電車は少し遅れなんとかみんな辿り着いて、待ってる間に駅をぽつぽつと囲む公安に見守られながら、地元の人たちが話しかけてくる。「昨日心配になってゴールまで見に行ったんだよ。ほんとにあの距離歩くとはなぁ」「よくがんばったねぇ」どうやら役場の人のようだった。キャンプでもロッジにいたらしく、ずっと見守って?いたそうだ。「そうなんです、大変だったんです」。「またおいで」と見送られ、電車に乗る。
 しかしそっから、私はまた別の不安で頭がいっぱいになった。一緒に来たメンバーは32人だったが、その中に昨日も見かけなかったし、キャンプで見たこともない、そしてとてつもなく公安っぽい格好をした人がいた。ベストとリュックとキャップとか、偏見だが公安らしすぎた。無言でケータイをいじっている。でも私が交通費カンパを回収にまわると、説明する前に無言で800円出してくれる。さらにもう一人、誰だ?という感じの人がいて、JMやDNには伝えて様子を見てもらうようにした。プレッシャー。へこんだ。しかし行かねば。増えた人数分のタクシーを電車から追加で頼んだ。
 伊達紋別の駅に着き、でっかいパペットグッズを後ろになんとか詰め込み、みんなに乗ってもらう。喉が渇いたのでお茶でも、と思いYDさんの分も、と思うがYDさんがいない!探していると、一台先に出たと言う。それにさっきの知らない人も乗ってったらしい。うそー。しかも、タクシーがまだ足りない。なんで?32人で数えて計算したのに!駅員さんも確かに32人ですね、とそんだけのお金しか払ってないのに!また新たにナゾの人が増えたのか?とあせる。でも仕方がないので、乗った順に出発してもらい、私とJM、HY含む5人で残る。しかも小型しかなくて2台頼んで待つ。その間に、デモ出発地の集会場にいるUやYTに電話し、「ごめん何か知らない人がそっちに行くかも…。」と説明する。やっぱにわか防衛なんかちゃんとできないんだ、と泣きそうになる。Uたちは、仕方ないよ、こっちで対処する、と言ってくれた。タクシーが来ない間、お腹が空いたのでJMとセイコーマートへ買い出しに。JMは東京に留学してて、やたらと日本語がうまい。人類学をやってるそうで、いろいろ話し、おもしろい。こうしてお互いのことを話す時間が、なんて全然なかったことか。タクシーでも香港からのBNが加わり、香港WTO時逮捕された友人の話になったりして、おもしろかった。そういえば京都からのメンバーとも、ほとんど交流してないなーと気づく。

3キャンプ合流デモ

 下久保内の集会場(牧草地)に着くと、ほとんど集会も終わりかけて、デモ出発の準備をしていた。周りは何にもないところに、ずらっと警察車両が並び、すごくシュール。エスペランティストとして神戸から伊達キャンプに参加していたNNさんに感動の再会!なんかすごく久しぶりのような気がする。さっきの怪しい人の容疑だが、ここで晴れる。伊達キャンプに来てた人の友達だった。パニクってたとはいえ、疑ったことを申し訳なく思う。声かけて実はあなたに対してこうこうこんな感じで思ってたんです、すいません、と謝ろうかと悶々とするも、どこに行ったか分からず、デモの準備でばたばた。そろそろ出発、て言われ、豊浦から来たメンバーで一応デモの中でのことを確認したかったが、ままならず。伊達グループの後に豊浦、その後に壮瞥で並んでと言われ、出発せざるを得ない。山谷の車も無事着いていた。ずっと炊事をしてた子も、今日は行動に参加したい、とみんなで車を出しての参加だった。来れてよかった(もちろん他にも全く参加できてない人もいたのだが)。
 歩き始めてからすぐに昨日までと感じが違うのが分かった。緊張、緊張。ダッシュどころではない。伊達の方が党派とかが多くて、警察も厳しい、みたいな話をどこかで聞いた気がした。警察がピリピリして声を荒げるのに、豊浦からの海外勢は何を言ってるのか分からなくて、さらに緊張する。ちょっとした警察との言い合いなんかが、彼らからしたら攻撃されているように感じ、デモが中断しもみ合いになる。その間に撮影していたLががんがん警察に突っかかっているのを見て、不安に思った何人かが、「あの彼が危ない、大丈夫なのか?」と聞いてくる。「大丈夫。友人で、他の子が彼のこと見てるから」そう言うとちょっと安心した様子。そうだよな言葉分かんなくて、日本はやばいぞとあんなに言われて、心配になるよな。でもYTやUがサブ指揮やってるみたいで、ちゃんと見ている。
 SEと、ダッシュしたいなー、うちらでできるやろかと話すが、無理そう。。休憩地までに、何度かデモがストップする場面があり、一度は海外勢がスクラムを組み出してしまい、完全に止まる。デモが分断されるとあぶない。でも私もスクラムの中に居て、スクラム組まないと怖い、ていうのも感じた。いつ引っこ抜かれるか。なんとか少しずつ緊張をやわらげて、スクラムは解かれ、また隊列はすすむ。伊達の全体指揮の人に、豊浦の指揮は誰か聞かれ、あのハッピとアフロの子です、とSEを紹介。通訳も伝えといた方がいいと思ってJMも紹介。あと、パペットとか全体を見てるのがDV、と。
 その間に、RSさんたちが豊浦からタクシーで着き、あれ?バスまだ来てないの?て話になる。第2陣のバスが、出発時やはり全員は乗れなくて、その中ででも行きたいという有志でタクシーで来たのだという。1万円ほどかかったそう。みんなが乗れなかった、というのと、まだ着いていないというのに不安を覚える。もしかして検問で足止めされてるんだろうか。ここで合流できないなんて。NNさんに会えてほっとして、この間のことをわーっと話す。豊浦での会議会議会議。ここに辿り着くまで大変やったーという話。しばらくして休憩地の道の駅が見えて来た。来てた!みんな。涙。CNTのEたちも来てた。乗れなかった人はほとんどいなかったよ、とのことだった。一安心。
 しかし、一旦今後の防衛のことも話さないと、とUたち伊達のデモ指揮の子たちと、全体のデモ指揮のひとたちと話す。スクラム組む方が危ないこと、すでに何度も警告が出ていて、デモのメンバーの行動もあるが、結局いかに権力対応するかで逮捕者出るかどうか、みたいな話。それをUがまかされていて、荷が重いなーと思った。でもUなら。たぶん。JGたちも防衛にあたっていて、Uを見ていてくれたりする。そこらへんとコミュニケーション取りながらすれば、大丈夫かも。JMのとこ行って、海外勢に今の状況とかを話す。みやみに止まらない、スクラム組まない、日本の警察に何が刺激になるか、不安に思わなくて大丈夫だから、とにかくデモ隊の列が途切れないように、などなど。現場での信頼関係や行動をともにするときの関係作り。いきなり知らない人がわっと集まる代執行の場を思い出す。うつぼや、長居でもあったことだ。
 休憩地から出発するときに、警察車両が救護車の前に割り込もうとするヘタを打ち、伊達の人たちが申請と違うやろ!と激しく抗議。またデモ隊が止まる。結局警察のせいでデモがスムーズにいかない。抗議している伊達の人たちが頼もしく思えた。そのまま緊張を繰り返しながらもデモ。一度、装甲を付けた黒い警察部隊を投入され、後方が遮断されてデモ隊分断という事態に。怒号が飛び交い、後ろが見えない。すわ逮捕か、と思われたが、しばらくしてなんとか分断は解かれ、みんな戻って来た。良かった。これ以上逮捕はいやだ。原因は、誰かが沿道にささってた「サミット歓迎」かなんかの旗を抜いて振り回したかららしかった。。(日本のデモでは、旗を持つのはいいが、水平にしたり振り回しちゃダメ!なんだそうだ!)
 なんだかんだありながらも、後半は、ドラムに集中。シュプレヒコールもせず、ひたすら壊れかけた鍋を叩く。HYのリズムがきもちいい。どうやら壮瞥に結構楽器部隊がいたようで、知らない人がいっぱいドラムやらなんやらやってる。いつのまにやらドラムブロック。ずっと炊事やってた味付けSZ兄さんも、なんかやたらドラムがうまかった。みんなステキ。ああやっぱ一緒にやれて良かった。来れてよかった。DVはお水とナッツをパペットを背負っている人たちや、みんなに配っている。ほんとこの人全体を見てるなぁと思う。
 湖が見えて来た。そうそうこれここに来たかったの!洞爺湖沿いにしばし歩いて解散地に着く。警察が広場から出られないように阻止線を張る。うろうろするCNTの子たち。うーん、彼らのやりたかった表現はできなかったんだろうなぁ。伊達の人々はハイ解散!と呼びかけているが、ドラムもやまず、パペットもわいわいやっている。ふっと、パペット集団が一か所に集まり、一斉に破壊。福田さんやブッシュの顔とガイコツの体が滅茶苦茶に壊される。あんまし気持ちのいいものでもないなぁ、と思う。しかしなんとか終了。今度はバス。もろきゅうをもらって伊達紋別から帰りの電車に間に合うようにと1台目のバスに乗り込む。集めた交通費が全然足らず、ジェイミーに頼んでまだの人に集めてもらう(でも結局足りずに京都ツアーで集めたカンパで補填したのだが)。Uに、あのパペットどーすんの!と言われ、処分するよ!と怒ってしまう。お互いにピリピリしてる。(でも結局残った人が処分したそう、ごめんなさい)
 バス接続の確認。帰りに間に合わない!?残った人たちのサルベージ。リーガルのKUやKちゃん、キャンプの人と連絡取り合いながら、なんとかなる。豊浦に戻って、少し休憩。少しずついろんな人と話す。一緒にスクラムを組んだアメリカからのSRに感想求められる。JGともゆっくり話す。なんと昔長居テント村のまつりで会ったことがあったらしい。18時半まで残り組を待って、札幌に向けてのバスが出発。Kちゃんといろいろ話す。そのうちフランスのACや香港の子たちが今回の行動について激論に。今日札幌のメディアセンターに泊まる組は、明日ミーティングして話そう、ということに。ははは、またミーティング!みんな全然話し足りてないもんな。札幌に着き、さて私は泊めてもらう友達と飲みに。明日はミーティングに参加しよう。でも一旦休みたい。夜の札幌の街は、公安以外の普通の人たちと車で溢れていた。そうだったこれが今のところの、たぶん日常なのだ。おかしな所から帰ってきた、という気分だった。でもあそこも、この国のまた日常だったのだろう。
 明日みんなで、一体私たちはどんな日常をつくりたいのか、運動をつくりたいのか、話ができるだろうか。