神戸YWCA夜回り準備会のブログ

神戸YWCA夜回り準備会(仮)のブログです。詳しくはウェブサイトをご覧ください(https://www.kobe.ywca.or.jp/top/activities/regional/yomawari/)。

神戸市更生センター、更生援護相談所訪問

7月に「更生センター」を訪問しました

先日、夜回りのメンバーで「更生センター」というところに行きました。生活保護を受けられている男性に寝床と作業訓練を与える神戸市の施設です。生活保護に関係なく、生活に困った方へ向けた無料一時宿泊施設の「更生援護相談所」も入居しています。

【更生センターのストリートビュー

 そもそも、なぜ行くことになったかというと、ここが公的な支援の中核となっているからです。これから紹介しますが、ここには市内を計画的に巡回して野宿をされている方の相談に応じる巡回相談員がいるのです。私たちの日常の訪問活動に通じる部分があります。また、野宿をされている方らにとって医療を受ける接点にもなっています。施設の状況を見学して、神戸市のスタンスがどうなのかを感じることができると考えていました。

それともう一つ。今話題の、特別定額給付金はその受給にあたっては住民票が必要で、野宿をされている方に大変不親切です。そういったところへの対応へのヒントにならないかとも思っていました。

訪問にあたって

訪問に際して事前に電話にてアポを取りました。火曜日以外の平日なら見学が可能とのことなので7月上旬で調整し、訪問日を決定しました。

なお、以前も訪問していたので、2回目の訪問となりました。

 

yomawari.hatenadiary.org

当日は所長の村山さまからお話をいただくとともに更生センター、更生援護相談所の内部を案内していただきました。こちらは合計7名での訪問でした。以下、聞き取った内容を記します。

1-更生援護相談所(建物の一階部分)

社会福祉法による無料一時宿泊施設です。昭和56(1981)年10月に現在の建物が設置されました。戦後すぐからの活動実績があるとのことです。このような施設は阪神間では神戸市だけなので周辺市町の野宿をされている方も受けいれています。

「自立更生への各種相談・医療相談、必要に応じて衣類交換や入浴(シャワーのみ)、散髪などの業務を行っている。」(所長さま談)

  • 相談所の体制(更生センターと兼務)
    所長、ケースワーカー2名、更生事務員12名(3名で4班を形成し、交代勤務、日勤、夜勤、休暇を繰り返し、24時間をカバーする。)、看護師(週4日昼間に待機。)。
    内科医が週二回(火曜木曜の午後1時半から1時間)医療相談。
  • 宿泊

    野宿をされている方などを一泊単位で受け入れる。夕方17時から翌朝8時まで(雨天などの場合は昼間にも滞留を認めることがある。)。
    宿泊場所は大部屋に二段ベッドが並ぶ。和室もあり、なんらかの事情のある方の為に使用。

  • 食事
    ぶどうパンあるいは食パンが夕方入所時に提供される程度。衣服は必要に応じて、寄贈品を支給。
    飲酒は禁止なので、醒めるまでは受け入れない。
  • 移送相談
    移動のための交通費援助のこと。相談所が困難状況を聞き取ったうえで、移動支援として認められれば切符の現物を支給。姫路・京都間で、現金では支給しない。姫路から以西は姫路市役所の担当部署に相談、京都以東はJR京都駅に近い下京区区役所に相談する。以西であれば九州までつなぐことは可能。
  • 調査と巡回
    更生援護相談所のほかに神戸市の巡回相談員が2名いて、市内を計画的に巡回し、野宿をされている方の相談に応じる。更生援護相談所の職員もパトロールする。必要に応じて、NPO法人「神戸の冬を考える会」につなぐ。
    毎年8月、ホームレスについて一斉調査をしている。市内での野宿をされている方の状況を調査。
  • 特別定額給付金の受給に際して
    住民登録のある住所宛てに申請書が届けられることになった関係で、対応を迫られた。結果、当相談所に連続して数日宿泊し、本人確認をした上で住民票のある役所に本人が連絡し、この相談所宛に申請書を送ってもらうことが認められた。それを受け取ったうえで本人が申請手続きを進める。住民票が抹消されている場合、本人確認をし区役所に住民登録が可能か相談する。

「すべての方に受給してもらうという考え方で取られた便法である。」(所長さま談)

2-更生センター(建物の3階部分)

生活保護法による更生施設です。入所施設であり、宿泊施設ではないという点で、更生援護相談所と一線を画しています。最近で一番長くなった方では6年だそうです。1954年に兵庫県から移譲され、1981年に現在の場所になったとのことです。女性を受け入れないのは相談所と同様です。

  • 部屋
    大部屋方式で現在の総数から一部屋3人となっている。現在の入所者数は18人ほど。
  • 設備
    食堂(朝、昼、晩の提供)、娯楽室(テレビがある)、浴室(湯舟がある。)。
  • 生活扶助
    生活保護法により「生活扶助」を現物支給。日用品、衣服、定期的な散髪、医療、食事など。
  • 作業訓練
    更生指導の一環として、就労意欲を高めるために作業訓練を実施。内部作業(施設の清掃など)、外部作業(公園などの清掃作業、除草など)。一定の労賃が支払われ、個人の手元のお金になる。
  • 就労支援
    就労支援員による支援活動。

コロナウイルス感染拡大に関係した対応

  • ネットカフェが休店したが、更生援護相談所ではこれに伴う宿泊希望はなかった。
  • コロナウイルス感染が広がり始め市の様々な関係施設が閉鎖されたとき(3月か?)、当所も閉鎖するとの張り紙が掲示された。ただ、実際は閉鎖していない。
  • 更生センターでは、居室の一番奥の部屋をコロナウイルス感染者が出たときに収容する部屋として確保している。

おわりに

更生センターは、男性のみを受け入れている施設です。戦後からの経緯の中で女性への支援は想定に入っていないからです。現在ではケースとして発生することもあるので、別途の兵庫県の施設(女性家庭センター・鷹取)を案内しているとのことですが、最近の利用の実状としては20名台の利用であるとのこと。

とはいえ、更生センターは大部屋、二段ベッドとなっていて個室はありません。男性であっても若い世代には受け入れられないのではないかと思いました。コロナでネットカフェが休店しても、宿泊希望がないというのは、ある意味うなずけます。

今後も更生センターについては注視していきたいと思います。訪問時に撮った写真や、訪問した方の感想など後日掲載できればと思います。